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【図解】損益分岐点のキホン ― freee会計を活用して損益を見える化する
私たち税理士法人ゼロベースは過去の前提や状況にとらわれない、「ゼロベース思考」でお客様の無駄を削減し、お客様ご自身が本業に集中できる環境の構築を得意とする、伴走型の税理士法人です。
「うちの会社は、実際売上がいくらまで下がったら赤字になるのか?」 この問いに即答できる経営者は意外と多くありません。もちろんざっくりとした感覚値は持っているものの、具体的な数字として把握できているかと言うと少数ではないでしょうか。
この問いに明確な答えをくれるのが、赤字と黒字の境目となる「損益分岐点」です。今回は、図解で損益分岐点の解説と、クラウド会計ソフト「freee」のデータから自社の損益分岐点を計算する方法、さらに上級編としてAIに分析まで任せる最新手法をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
1. 利益の構造はたった2つの式でできている
損益分岐点を考える上で大きなポイントとなるのは、事業に必要な費用を「変動費」と「固定費」の2つに分けて考えることです。
- 変動費: 売上に比例して増減する費用(仕入高、材料費、外注費など)
- 固定費: 売上に関係なく毎月一定で発生する費用(人件費、家賃、減価償却費など)
この2つの費用を使い、企業の利益は以下の2つの式から算出することができます。
・売上 − 変動費 = 限界利益
・限界利益 − 固定費 = 営業利益
【図1 限界利益方式の分解図】

図1は上に掲載した計算式に数字を当てはめ、模式図として表したものです。「売上100・変動費30・固定費50」の会社の例です。
売上100に対して変動費30を引いた70が限界利益になります。さらにここから固定費50を引いて、残りの20が営業利益として手元に残ります。 この場合の限界利益率は、70÷100=70%となります。つまり売上が1増えるごとに、70%の0.7が固定費の回収と利益に充てられるというのが、この会社の利益構造になります。
【限界利益と粗利の違い】
限界利益に似た概念に粗利があります。粗利は「決算書」にも載せる公式な利益ですが、売上原価の中に固定費(人件費や減価償却費など)が含まれることがあるためここでは分けて考えることに注意が必要です。そのためエクセルへ二重に入力をしなくても、精度の高い資金繰り予想を見ることができます。
2. 損益分岐点図表で「赤字ライン」を見える化する
この利益構造を元に赤字と黒字の境界を視覚的に把握できるようにしたものが、損益分岐点図表(CVPグラフ)です。
【図2:損益分岐点図表】

損益分岐点図表では縦軸に金額(売上・費用)、横軸に売上高をとり、売上線と総費用線の交点が損益分岐点となります。
原点から右肩上がりに45度で伸びる「売上高線」と、固定費50をスタート地点(切片)として変動費率の30%の傾きで伸びる「総費用線」。この2本の線が交差する点が、損益分岐点となります。
損益分岐点売上高は次の計算式で求めることができます。
⚫︎損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
この計算式に先ほどの例の固定費50、限界利益率0.7を当てはめると
⚫︎50 ÷ 0.7 ≒ 71.4
となります。つまり、71.4を下回れば赤字、上回れば黒字になるということです。現状の売上100に対して、あと約28.6%売上が落ちても耐えられる(安全余裕率28.6%)と、読み解くことができます。値上げをするのか、固定費を削減するのかという議論も、売上高線の角度を急にするのか、総経費用線のスタートを下げるのかといった具合に、このグラフ上で語ることができます。
3. freeeを活用して自社の損益分岐点を月次で分析する
自社の数字で損益分岐点を計算したいというときも、以下の手順でfreee会計から出力したデータを加工すると簡単です。
- 仕訳帳を出力する:
freeeのメニュー「レポート」→「仕訳帳」から、対象となる期間のデータをCSV形式で出力します。
- 費用を変動費と固定費に分解する
エクセル等で勘定科目ごとに「売上に比例するか?」という基準で色分けします。仕入高・外注費・荷造運賃などは変動費、役員報酬・給料・地代家賃などは固定費に分類します。
- 限界利益率と損益分岐点を計算する
「(売上−変動費)÷売上」で限界利益率を算出し、「固定費÷限界利益率」で損益分岐点売上高を算出します。
この計算を月次で繰り返し行うことで、「限界利益率が下がっていないか(原価の高騰や値引き販売が起きていないか)」、「固定費が不必要に膨らんでいないか」といった自社の利益構造の変化にいち早く気づくことができます。きます。
4. 【上級編】freee-MCPでAIに分析まで任せる
さらに一歩進んだ経営管理を目指す方には、freee公式の「freee-MCP」の活用がおすすめです。 MCP(Model Context Protocol)とは、AIと外部サービスを安全につなぐ標準規格のことで、Claudeなどの生成AIをfreee会計のデータに直接接続することができます。
これを利用すれば、CSVをエクスポートする必要なく、チャット画面で「今期の試算表から変動費と固定費を分解して、損益分岐点売上高と安全余裕率を計算して」と依頼するだけで、AIが自動でfreeeからデータを取得し、瞬時に分析まで実行してくれます。freee-MCPのリモート版であれば、接続URLの登録だけで環境構築の手間なく使い始めることが可能です。
MCPについて詳しく知りたい方や、MCPの設定方法や使い方に不安があるという方のご相談も承っていますのでお気軽にお問い合わせください。
【設定方法・参考リンク】
- freeeヘルプセンター「freee-mcp(リモート版)を設定して利用する」 https://support.freee.co.jp/hc/ja/articles/56390747520537
- freee公式GitHub(OSS版・Agent Skills) https://github.com/freee/freee-mcp
※財務という機密データを扱うため、AIツール側で「学習への利用無効化(オプトアウト)」の設定を必ず確認し、公式URL以外には接続しないようセキュリティには十分ご注意ください。
まとめ|数字は「過去の報告」から「未来の判断材料」へ
損益分岐点は、過去の成績表ではなく「これからどう動くか」を決めるための未来の道具です。自社の正確な損益分岐点を知り、利益体質を強化したいとお考えの経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
私たち税理士法人ゼロベースはfreee会計のデータとAIを組み合わせ、自社の経営を見える化し、経営者が本業に集中できる体制を構築することを得意としています。月次の報告会を「着地見通しを聞く場所」ではなく「実績を踏まえて行動計画の議論の場」に変え、貴社の成長に貢献します。