Column
【freee×アメーバ経営】クラウド会計で実現する「全員参加型」経営
私たち税理士法人ゼロベースは過去の前提や状況にとらわれない、「ゼロベース思考」でお客様の無駄を削減し、お客様ご自身が本業に集中できる環境の構築を得意とする、伴走型の税理士法人です。
先日ある経営者の方から「freeeの機能を活用して『アメーバ経営』を実践することはできますか?」というご質問をいただきました。アメーバ経営は、京セラやKDDIの創業者でJALの経営再建でも有名な経営者である稲盛和夫氏が提唱した経営手法です。
大企業ならではの高度な管理手法と思われがちなアメーバ経営ですが、freeeの機能を正しく設計すれば、そのエッセンスは中小企業でも実践することが可能です。
アメーバ経営の全容は説明するだけで専門の書籍になってしまうほど大きなテーマなのですが、今回は主に中小企業がアメーバ経営のエッセンスを導入することを念頭に、クラウド会計ソフトfreeeを活用して収支の見えやすい営業部門別管理や、拠点別管理を実践するための具体的な方法について解説していきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
今回ご紹介する内容はあくまで、アメーバー経営のエッセンスを導入するという内容なのでアメーバ経営の実践にご興味のある方はぜひ、稲森氏の著書や解説書などを読んでみてください。
アメーバ経営の導入は中小企業には難しい?
アメーバ経営の根幹は、会社組織を「アメーバ」と呼ばれる小集団(拠点や部門、チーム)に細かく分割し、それぞれが独立した中小企業の経営者のように組織を運営するという点にあります。
各アメーバが自組織の売上と経費を把握し、利益(付加価値)を最大化しようと工夫を凝らすことで、一人一人が経営者視点を持った「全員参加型の経営」が実現します。その結果として各アメーバの収益の積み重ねによって、全体で大きな収益を生み出すという経営手法です。ご相談いただいた経営者の方も、社員に自分ごととして仕事に参加して欲しいという考えから導入の検討をされていたそうです。
しかし、実際には中小企業がこれを実務レベルで運用するためには負担が大きいため、多くの企業がこの手法を取り入れようとして挫折してしまうのが現実のようです。挫折の最大の理由は「経理部門の負荷やコスト」です。従来の勘定科目で作成した試算表から、部門ごとに売上や直接経費を再度集計し、そこに全社共通の経費(家賃や間接部門の人件費など)を各部門に割り振って各組織の収支を算出するという作業は非常に大きな負荷になります。
しかもこれを毎月繰り返さなければならないため、既存の体制のままではいずれ破綻してしまいます。かと言ってこの作業に専任の担当者を据えるほどの余裕のある企業はあまりないというのが実情です。そのため最初は無理して導入したものの、徐々に現場へのフィードバックが遅くなり、現場の熱も冷めてしまい結局挫折してしまうというのがしばしば見られるケースです。。
freeeの「部門タグ」で、会社の中に小さな会社を創る
この経理部門の負担を大幅に削減し、アメーバ経営実践の基礎となるのがfreeeに特徴的な「タグ」機能です。
freeeの一つの取引(例えばカフェでの打ち合わせ代)に対して、勘定科目や補助科目の階層に縛られることなく、「取引先タグ:ex.顧客名」「品目タグ:ex.交通費」「部門タグ:ex.営業部」「案件タグ:ex.年末キャンペーン」といった複数のタグを自由に付けることができる機能です。「タグ」は、SNSのハッシュタグをイメージすると分かりやすいかもしれません。 収入や支出など全ての取引にタグを付与することで、特定のタグで紐づけられた取引を簡単に抽出することができます。
この「複数タグの組み合わせで横断的に検索・集計する」機能があるため、わざわざエクセルで集計しなくとも、組織ごとの分析が瞬時に行えるようになります。
- WEBサイト制作の納品時の売上には「WEB制作部」のタグをつける。
- 広告掲載料の支払いや、ツールの利用料には「広告営業部」のタグをつける。
日々の業務の中でこのタグ付けのルールさえ徹底しておけば、あとはfreeeのレポート画面を開くだけです。ボタン一つで、各アメーバ(部門)の「売上高」から「直接かかった経費」を差し引いた損益計算書(P&L)が、エクセル作業ゼロで瞬時に自動生成されます。
「配賦機能」を活用して共通経費を配分
部門ごとの直接的な売上と経費は部門タグで見える化できましたが、オフィスの家賃、光熱費、全社共通のシステム利用料、そしてバックオフィス(総務や経理)の人件費など、特定のアメーバに直接紐付かない経費を、割り振らなければなりません。
ここで活用できるのがfreeeの「配賦(はいふ)機能」です。freeeでは、あらかじめ「共通経費をどの部門に、どういった基準で割り振るか」というルールを設定しておくことができます。 例えば、「オフィスの家賃は、WEB制作部と広告営業部の『人数比率』で毎月自動的に配賦する」「バックオフィス部門の人件費は、各部門の『売上高比率』に応じて配賦する」という具合です。
あらかじめ設定をしておけば、月末にボタンを押すだけで、共通費が各アメーバに自動分配されます。これにより、現場のリーダーは「全社の経費を負担した上で、自分たちのチームが最終的にいくらの利益を出したのか」という、正確な数字を確認することができます。
リアルタイム性が、創意工夫を生む
アメーバ経営の真の価値は、数字を細かく管理することではありません。数字を通じて、社員一人ひとりの意識を変革することです。
従来の方法で作成した「数ヶ月前の結果が記載されたエクセル集計」では、現場サイドも即時性をもってアクションをすることが難しいという点がありました。しかし、freeeを使えば、自動的に連携されるシステムによって自組織の現状を、リアルタイムに可視化することができます。
「WEB制作部の共通費負担が重いから、もっと生産性を上げて少ない人数で回せるフローを作ろう」、「今月は広告営業部の利益が目標に届いていないから、もう1枠提案を増やそう」
など、現場のリーダーやメンバー自身がリアルタイムな数字を見て自律的に考え、行動を変えていくことができます。こういった、稲盛氏が提唱したアメーバ経営が、中小企業でもfreeeを使うことで実現することができます。
まとめ:経営手法をシステムに落とし込む「伴走支援」
いかがでしたでしょうか。「アメーバ経営」は人的リソースに余裕がある大企業のものだけではありません。中小企業でも「クラウド会計ソフト」というシステムに落とし込むことで、アメーバ経営の考えを実践するために必要な部門別採算をスピーディーに実現することができます。
しかし、自社のビジネスモデルに合わせたタグの設定や運用ルールなどの設計には、財務に対する知見と、freeeを使いこなすノウハウが不可欠です。
私たち税理士法人ゼロベースは、経営者がどのような指標を重視すべきかという、経営のデザインといった上流工程から、実際の運用まで伴走支援をご提供しています。
「社員にもっとコスト意識を持たせたい」 「部門ごとの本当の利益をリアルタイムに把握して、次の一手を打ちたい」
そうお考えの経営者様は、ぜひ一度、freeeの最高評価である「5つ星認定アドバイザー」に認定されている、ゼロベースへご相談ください。貴社の組織を強くし、経営者が本業に集中できる体制を構築するお手伝いをさせていただきます。