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開業したての社長が知っておきたい税金の基礎知識
私たち税理士法人ゼロベースは過去の前提や状況にとらわれない、「ゼロベース思考」でお客様の無駄を削減し、お客様ご自身が本業に集中できる環境の構築を得意とする、伴走型の税理士法人です。
会社を立ち上げたばかりの時期は、売上づくりや採用、営業活動、サービスの改善など、社長が向き合うべきことが数多くあります。その一方で、法人として事業を始める以上、税金や会計の基本を避けて通ることはできません。
「税金のことは決算のときに考えればよい」と思われる方もいるかもしれません。しかし、実際には開業直後から日々の経理処理、役員報酬の決め方、消費税の判定、資金繰り、納税スケジュールなど、早い段階で整理しておくべきポイントがたくさんあります。
このコラムでは、開業したての社長がまず押さえておきたい税金の基礎知識についてご紹介します。これから会社を成長させていきたい方、税金や会計に不安を感じている方は、ぜひ最後までご覧ください。
開業したての社長が税金を知っておくべき理由
会社を設立すると、個人事業主のときとは異なる税金や手続きが発生します。法人税、法人住民税、法人事業税、消費税、源泉所得税など、会社に関係する税金は複数あります。
もちろん、税金の計算や申告そのものは税理士に依頼できます。しかし、社長自身が基本的な仕組みを理解していないと、資金繰りや投資判断、役員報酬の設定などで思わぬ失敗につながることがあります。
例えば、利益が出ているにもかかわらず納税資金を残していなかったり、役員報酬を適切なタイミングで決めていなかったりすると、後から資金繰りが苦しくなるケースがあります。また、消費税の納税が始まるタイミングを把握していないと、想定外の支出に慌てることもあります。
会社経営において大切なのは、「税金をなるべく少なくすること」だけではありません。会社に必要なお金を残し、事業を安定して成長させるために、税金と資金繰りをセットで考えることが重要です。
会社にかかる主な税金
開業したての社長がまず押さえておきたいのは、会社にどのような税金がかかるのかという全体像です。細かい計算方法まで覚える必要はありませんが、主な税金の種類と特徴は理解しておきましょう。
法人税
法人税は、会社の利益に対してかかる国の税金です。売上から仕入や人件費、家賃、広告費などの経費を差し引き、税務上の調整を行った所得に対して課税されます。
社長が注意したいのは、「売上が増えたから税金がかかる」のではなく、「利益が出た場合に税金がかかる」という点です。売上が大きくても、経費や投資が多ければ利益は少なくなることがあります。一方で、手元資金が少なくても帳簿上は利益が出ているというケースもあります。
そのため、売上だけを見るのではなく、利益とキャッシュの両方を確認することが大切です。
法人住民税・法人事業税
法人住民税と法人事業税は、会社の所在地である都道府県や市区町村に納める地方税です。
特に法人住民税には、利益が出ていない場合でも発生する「均等割」があります。つまり、赤字だから税金が一切かからないとは限りません。開業直後で利益が出ていない時期でも、最低限の税負担が発生することは覚えておきましょう。
消費税
消費税は、商品やサービスの取引にかかる税金です。会社が売上と一緒に預かった消費税から、仕入や経費で支払った消費税を差し引き、その差額を納めるのが基本的な考え方です。
開業したての会社の場合、設立直後から必ず消費税の納税義務があるとは限りません。ただし、資本金の額や売上規模、インボイス登録の有無などによって扱いが変わります。
特に、インボイス制度への対応を目的として適格請求書発行事業者に登録している場合、消費税の申告・納税が必要になる可能性があります。取引先との関係にも影響するため、開業初期から確認しておきたいポイントです。
源泉所得税
会社が役員や従業員に給与を支払う場合、給与から所得税を差し引いて、会社が代わりに納付する必要があります。これが源泉所得税です。
源泉所得税は、法人税のように決算時にまとめて考えるものではなく、毎月または一定のタイミングで納付が必要になります。納付を忘れると延滞税などが発生する可能性があるため、給与を支払う会社では早めに運用ルールを整えることが大切です。
開業初期に特に注意したい税務ポイント
会社設立直後は、税金の細かい知識よりも、まずは「後から修正しにくいポイント」を押さえておくことが重要です。ここでは、開業初期の社長が特に注意したいポイントを解説します。
役員報酬は自由に変えられない
社長自身に支払う給与を「役員報酬」といいます。役員報酬は、毎月同額で支払うことが原則です。会社の利益に応じて自由に増減させると、税務上、経費として認められない部分が出る可能性があります。
開業直後は売上の見通しが立ちにくいため、「とりあえず少なめにしておく」「利益が出たら増やせばよい」と考えがちです。しかし、役員報酬は会社の利益、社長個人の生活費、社会保険料、税金に大きく影響します。
そのため、役員報酬を決める際は、単に金額だけを見るのではなく、会社に残す資金、個人の生活費、今後の投資予定を踏まえて設計することが大切です。
経費にできるもの・できないものを整理する
会社で使ったお金がすべて経費になるわけではありません。事業に必要な支出であること、領収書や請求書などの証拠書類が残っていること、内容を説明できることが重要です。
例えば、パソコンやソフトウェア、広告費、打ち合わせに使った会議費などは、事業との関連性が明確であれば経費として処理できる可能性があります。一方で、社長個人の生活費や事業と関係のない支出は、会社の経費にはできません。
開業初期は、会社のお金と個人のお金が混ざりやすい時期です。会社用の銀行口座やクレジットカードを分け、日々の支出を整理しやすい状態にしておきましょう。
納税資金を残しておく
会社の資金繰りでよくある失敗が、利益が出ているにもかかわらず納税資金を残していないケースです。
会計上の利益は出ていても、売掛金の回収が遅れていたり、設備投資や借入返済で資金が出ていったりすると、手元にお金が残っていないことがあります。その状態で法人税や消費税の納付時期を迎えると、資金繰りが一気に厳しくなります。
税金は、利益が出た後に発生する重要な支出です。月次で利益を確認しながら、納税に必要な資金を早めに見込んでおくことが大切です。
開業したての社長が知っておきたい税制改正の視点
税制は毎年のように見直しが行われます。すべての改正を社長自身が細かく追う必要はありませんが、会社の資金繰りや投資判断に関係する改正には注意が必要です。
例えば、令和8年度税制改正では、中小企業者等の少額減価償却資産の特例について、対象となる減価償却資産の取得価額が従来の30万円未満から40万円未満に引き上げられる内容が示されています。
この特例は、一定の要件を満たす中小企業が、対象となる少額の備品や設備を取得した場合に、その取得価額を一括で損金算入できる制度です。パソコンや業務用機器、ソフトウェアなどを購入する会社にとっては、設備投資のタイミングや資金計画に影響する可能性があります。
しかし、税制改正は適用時期や対象要件の確認が非常に重要です。「使えそうだから」と自己判断で進めるのではなく、自社が対象になるのか、いつ取得した資産から適用できるのかを税理士に確認しながら進めましょう。
社長が最低限押さえておきたいBS・PL・CFの基礎
税金を理解するうえで、会計資料の見方も欠かせません。特に社長が押さえておきたいのが、BS、PL、CFの3つです。
PLは会社の利益を見る資料
PLとは損益計算書のことで、一定期間の売上、経費、利益を確認する資料です。
社長にとってPLは、「今月どれくらい売上があり、どれくらい利益が残ったのか」を見るための基本資料です。ただし、PLで利益が出ているからといって、必ずしも手元資金が潤沢にあるとは限りません。
利益は会社の成績を見るうえで大切ですが、資金繰りを考えるには、次に説明するBSやCFも合わせて確認する必要があります。
BSは会社の財産と借入の状況を見る資料
BSとは貸借対照表のことで、会社の資産、負債、純資産を確認する資料です。
簡単に言えば、「会社にどれだけの財産があり、どれだけの借入や未払いがあり、どれだけ自己資本があるのか」を見るための資料です。現預金、売掛金、借入金、未払金などの状況を確認することで、会社の安全性を把握できます。
開業初期は、売上や利益に意識が向きがちですが、会社を安定して続けるためにはBSの確認も重要です。特に、借入金や未払金が増えていないか、売掛金の回収が遅れていないかを定期的に確認しましょう。
CFはお金の流れを見る資料
CFとはキャッシュフローのことで、会社のお金がどのように入ってきて、どのように出ていったのかを確認する考え方です。
会社経営では、黒字でも資金が足りなくなることがあります。売上が計上されていても入金が先であれば、手元資金は増えません。また、借入金の返済や設備投資は、PL上の利益とは別に資金繰りへ影響します。
そのため、社長は「利益が出ているか」だけでなく、「お金が残っているか」「数か月先の支払いに対応できるか」まで確認する必要があります。
クラウド会計を活用して数字をリアルタイムに把握する
開業初期の会社では、経理担当者を置かず、社長自身が経理業務を行っているケースも少なくありません。そのような場合に役立つのが、freee会計をはじめとしたクラウド会計ソフトです。
クラウド会計を活用すると、銀行口座やクレジットカードの明細を自動で取り込み、日々の取引を効率的に処理しやすくなります。また、税理士事務所と同じデータを共有できるため、資料のやり取りや確認作業もスムーズになります。
重要なのは、クラウド会計を単なる経理効率化のツールとして使うだけでなく、経営判断のための数字を見る仕組みとして活用することです。
毎月の売上、利益、現預金残高、未回収の売掛金、今後の支払い予定などを早い段階で把握できれば、納税資金の準備や投資判断、借入の検討もしやすくなります。
まとめ|開業初期こそ税金と数字の土台づくりが大切
開業したての社長にとって、最も大切なのは本業に集中し、会社の売上を伸ばしていくことです。しかし、その土台となる税金や会計の仕組みが整っていないと、せっかく事業が伸びても資金繰りや納税でつまずいてしまう可能性があります。
法人税、法人住民税、消費税、源泉所得税などの基本を理解し、役員報酬や経費処理、納税資金の管理を早い段階で整理しておくことが大切です。また、BS・PL・CFを活用して会社の数字を確認できるようになると、経営判断の精度も高まります。
私たち税理士法人ゼロベースは、開業したばかりの会社や成長を目指す中小企業に対して、税務顧問、freee導入支援、財務アドバイザリーなどを通じて、経営者が本業に集中できる体制づくりをサポートしています。
会社設立後の税務や経理体制に不安がある方、クラウド会計を活用して経営状況を見える化したい方は、ぜひ一度ご相談ください。お客様の状況をヒアリングしたうえで、現在のフェーズに合った最適なサポートをご提案いたします。
税理士法人ゼロベース 「数字の先に、意志のある経営を。」